平成最後の夏を経て〜市民に届く・伝わる「伝えかた」

10月31日、日本広報協会様のご依頼で、自治体広報ご担当者の向けの講義を担当しました。東北から沖縄まで、「伝わる自治体広報」に関心を持つご担当者の方々が熱心に受講してくださいました。
 
今回、私にも特別な思いがありました。
自治体広報の中でも市民の命運を分けると言っても過言ではない、災害広報。
これまでも、危機管理時の広報における SNS発信を、講義の一部でお伝えしてきましたが、あくまで「広報の専門家」としての見地からでした。
 
しかし、平成最後の夏。
日本が各地で受けた災害は、私にある決意をさせるのに十分な重さと深刻さがあったのです。
 
「まさか」の罠。
「今までも大丈夫だった」正常化のバイヤス。
 
その思い込みがどれほど危険か。避難指示の出た京都にあって、私自身も思い知りました。
 
どうすれば、人は助かるのか。
どうすれば、一人でも多くの人が命をつなぐことができるのか。
小さな私に何ができるのか。
考えない日はありませんでした。
 
そして、是が非でも知りたいと思ったのが「危機管理」の概念と実際。
集中講義と試験を受けること3日間。先月、「危機管理士」合格の知らせが届きました。
 
少しでもその内容を反映させたい。
内容も大幅に改善して臨んだのが、先般の講義でした。

終盤3分の1ほどを、「危機管理」に割きました。
炎上をはじめとしたソシアルリスク、
そして、激甚化する災害への備えと情報伝達。
 
情報だけで、人を助けることはできません。
それでもやはり、伝え続けることの大切さを思います。
 
必要であれば、定型の言葉を疑う。
「この表現で、本当に人は危機を感じるのか?」
「混乱が生じないようにできることは何か?」
 
「もう大丈夫」がない。
「これでいい」が存在しない。
先が読めない自然災害の危機管理では、「完全」はありません。
だからこそ、積み上げていく。
だからこそ、あきらめない。
人と言葉の力を信じて。